5月に読んだ本まとめ

2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3261ページ
ナイス数:0ナイス

王妃の館〈下〉 (集英社文庫)王妃の館〈下〉 (集英社文庫)
読了日:5月3日 著者:浅田次郎
最後まで読むとやっぱり良い小説である。ぶっ飛んでる感すらあるハッピーエンドに安心する。

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
読了日:5月10日 著者:夢野久作
なんかの拍子に再読したくなったドグラ・マグラ。出張や旅行に持って行く本を選ぶ際には、カバンのスペース的に、文庫版であることがまず必須なのだが、文字が大きい・読みやすい等の理由でサクサク読み終えてしまえるものはダメで(浅田次郎なんて絶対ダメ)、なるべく1冊で長く時間をつぶせるものを選ぶ。その点でドグラ・マグラは完璧すぎるほどに完璧で、結局2回くらい旅行カバンの中に入る羽目になった。

山口晃  前に下がる 下を仰ぐ山口晃  前に下がる 下を仰ぐ
読了日:5月11日 著者:山口晃
水戸芸術館で開催していた山口晃の展覧会。知ったときにはもう会期も半ばを過ぎており、行けないなあーと残念がっていたら、なんとまあ思いがけず行けてしまったのだった。その図録。展覧会会場には作品の基本情報以外のキャプションがなかったのだが、この本には山口さんのちょっとしたコメントが入っており、読みながら展示を反芻して更に楽しめる。富士山をモチーフにした作品へのコメントで、何か忘れたけど、「(何かが)女陰に見えた」て書いてて、下に英訳があったのでなんて訳されてるんだろうと思ったら「lady parts」って書いてて勉強になりましたね!あと腹立たしいほどに男前な山口さんが展覧会場をうろついてる写真がふんだんに入っており、それがまた腹立たしく何ともいえない気分になりました。

すゞしろ日記すゞしろ日記
読了日:5月12日 著者:山口晃
これも水戸芸術館の展覧会場で。大学生の頃からずっと欲しかった本なのでとてもうれしい。あの時は確か友達に借りて読んだのだった。主義主張をコミカルな表現で発信する人というのはまぁよくいる。しかしどこかこう、こなれてない感じというか、抑え切れていない自意識や面倒くさそうな人格をわたしは感じ取ってしまって、ストレートにもの申す人よりよっぽど嫌らしさというか嫌悪感を覚えたりするのだが、この人に関して言うと、緩い日常系エッセイと、世の中へのちょっとした思いみたいなののバランスが非常にスマートで、自然で、その立ち居振る舞いのそつのなさに、こんな才能溢れた人がなんかもう現実に存在しているのが信じられなくなる。あと食べておられるものがいちいち大変おいしそうでうらやましい。

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)
読了日:5月13日 著者:夢野久作
見えるお金見えない生命見えるお金見えない生命
読了日:5月14日 著者:竹熊宜孝
凄い先生の凄い半生が綴られていておもしろいのだが、話題があっちこっち行って、文章も話し言葉だし、なんかほんとおじいちゃんの昔話を聞いてるようなほほえましい気分にもさせてくれる。

給食で死ぬ!!―いじめ・非行・暴力が給食を変えたらなくなり、優秀校になった長野・真田町の奇跡!!給食で死ぬ!!―いじめ・非行・暴力が給食を変えたらなくなり、優秀校になった長野・真田町の奇跡!!
読了日:5月15日 著者:大塚貢,西村修,鈴木昭平
ちょっとタイトルがセンセーショナルに過ぎるような気がしないでもないけど、内容をそのまま表しているとも言えるような。良いことしか書かれて無くて(まあそりゃそうなるだろうけど)、画一的にすべてがうまくいくことって無いと思うし(特にこういう教育とか学校運営とか人間が濃厚に絡む事柄に関しては)、いろいろ困難なことや、上手くいかなかった部分もあったんじゃなかろうかと思って、そういうのも書いてくれた方が真実みが出るのになあとは少し思った。

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)
読了日:5月23日 著者:ロバート・A.ハインライン
流刑地として都市が形成されてきた月が、地球に対して反乱をおこし独立するという話。SFなんだけど、基本的に政治的革命の描写が延々続くので大変地味。

ヴァンデミエールの翼(1) (アフタヌーンKC)ヴァンデミエールの翼(1) (アフタヌーンKC)
読了日:5月23日 著者:鬼頭莫宏
突然鬼頭莫宏が読みたくなって、ネットカフェで「なるたる」一気読みしたのだが、その余波でkindle版購入。初めて読んだけど、けっこうおもしろかったです。

ヴァンデミエールの翼(2) <完> (アフタヌーンKC)ヴァンデミエールの翼(2) <完> (アフタヌーンKC)
読了日:5月23日 著者:鬼頭莫宏
身体知―カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる (講談社+α文庫)身体知―カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる (講談社+α文庫)
読了日:5月25日 著者:内田樹,三砂ちづる
内田樹三砂ちづるの対談で構成された本。三砂さんの発言によく見られる、出産体験を過剰に神秘化する発言は、個人的にはあまり好みではなくて、本の中でも言われていた通り、それを「できない人が傷つく」というような理由で封殺しようとするのもなんか違うとは思うが、まぁわたしとしては、完全に妊娠・出産が不可能であるという(状態が確定する)前に読んでおけて良かったなと思う。多分そうなったら読めないなこれは。三砂さんのテンションは正直全体的にちょっと苦手だったけど、内田さんの方は大変おもしろかった。

生命と食 (岩波ブックレット)生命と食 (岩波ブックレット)
読了日:5月28日 著者:福岡伸一
狂牛病や添加物といった食の安全に関する問題を、非常に丁寧かつ理知的な文章で解説した本。内容もだけど、文章のテンションが非常に心地良い。

仏教は宇宙をどう見たか―アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN選書)仏教は宇宙をどう見たか―アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN選書)
読了日:5月28日 著者:佐々木閑
これはめちゃくちゃ良かった本なので別立てで書きたい。というか、これの感想を書こうと思うといつまで経ってもこの記事アップできない。もうね、この筆者がいる大学通いたくなったからね…!とりあえず夏までにもう一回読み返したい。


読書メーター

スマホ変えた

 3年ちょっと使っていたARROWS(ISW13F)がいよいよくたびれてきたようなので、INFOBAR A03()に変えましたん。赤がダントツかわいいんだけど、ARROWSが赤だったので、違う色がいいなァと思って青色にした。かわいい。電気製品は見た目を過剰に重視するわたしとしてはもうそれだけで良いのだが、ぬるぬる動くわ通信もはやいわで、毎日静かに感動している。1週間くらい使った感想。

  • まあるいフォルムがとにかくかわいく、持った感触も良い。至福。カバー付ける気になれない。さらさらした質感もすばらしい。なでまわしたくなる。
  • でも滑って落としそうでこわい。困った。
  • タッチセンサーキーを左からシュッてやるとキーの文字が光って画面付くんだけど、それが結構たのしい。物理ボタンじゃないのちょっと不安だったけど、すぐ慣れた。
  • でも親指で操作するときに間違ってRECENTやBACKにタッチしちゃって、意図しない動きをしてしまうことがある。
  • 今まで使ってたARROWSは指紋認証使ってたんだけど、この子は指紋センサーないからジェスチャでロックしてて、そこが不安といえば不安。
  • オリジナルのホームアプリであるiida UIは、なんともいえない粘度の高い液体の中みたいな挙動がたのしいといえばたのしいのだけど、1週間で結構飽きてきたのでホームアプリはそろそろ変えようかな…。使い勝手を考えると別に良いとは思えない。ただ動きは気持ちいい。
  • ARROWSはスライドインランチャーという、よく使うアプリをサッと起動できる便利なものがあったのだが、これはないので扇ランチャーをインストールして解決。
  • 今までガラケースマホも、大体使ってる途中でバッテリーだけ買い換えて保たせてたのだけど、これはバッテリー一体型で外せないから、へたってきたらのちのち大丈夫かな?という気はする。
  • でもまぁとにかく3Gからの4G LTEはやすぎて笑える。家のwifiより絶対早いと思うからなんかもうwifiの設定すらしてない。いやでもまぁそのうちする。
  • あとまぁとにかくかわいいに尽きる。

 電子機器の、自分で手なずけていく感覚すごい好きで、だからやっぱりAndroidが良いなァと思う。root化したりまではさすがにしないが、カスタマイズするのすごいたのしいし好きだ。

闇をひとつまみ

 いろいろすてきなところを巡った東京からの帰り道、自宅の最寄り駅について、ipod髭ちゃんのシャッフルを聴きながら歩く。1曲目がたまたま「夢でさよなら」で、なんとも言えない切ない気持ちになりながら歩いた。非現実的な旅の帰りに、過剰に日常的な音楽を聴きたくなるのは、なにかバランスを取ろうとしているのだろうか。新幹線のなかでは、普段聴かないイエモンや、ラジオの録音を聴いたりしているのに、千日前線に乗り換えるあたりから、髭ちゃんや毛皮や達郎や、そういった身体と心に染みつき倒した音楽が聴きたくなる。
 翌日、会社の最寄り駅から会社に向かっているとき、シャッフルで「闇をひとつまみ」がかかって、聴きながら歩いてたらほんとにちょっと泣きそうになってしまった。それから今日も何度も繰り返して聴いている。この曲は、YouTubeで公開された時から戦慄してたが、本当に神懸かって良い。はるか10年前、いや、わたしが髭ちゃんに出会ったのはもう少しあとかな。10年、いろんなことがあった気もするし、何もなかった気もする。あっという間だ。また10年先に、まだ生きていたとして、この曲を聴いて、"はるか10年前 昨日 そして今"という詞に何を思うかな。曲を作った人がどう思って書いたかは知らないが、わたしがこの曲から受ける「闇」のイメージは、闇があるから光があるみたいな陳腐な対比ではなく、宇宙みたいな虚無でもなく、もちろん悪でもなく、ありとあらゆるさまざまなものが混ざり合った深い深い色だ。なにもかもを許し、受け入れ、呑み込んだ、その先に生まれる深い色だ。いろんなことがあった気もするし、なかった気もする10年間を、なにもかもぶち込んで、許してもらえる、肯定してもらえるような、そんな気持ちになる。はるか10年前、とうたう曲ながら、昨日、今、明日、と視点は一気に未来へパンする。その時間の連なりの中にある全てを、この美しい闇色の中で、受容してもらえるような気がするのだ。きっと、次の10年も。
 多分髭ちゃんはそんなことを歌いたい訳ではないのだろうが、そういう風にきこえるっていうことは、それをわたしが望んでいるからなのだろう(音楽も美術も、わたしにとっては自己投影と快楽を得る手段である)。YouTubeで久しぶりに闇を〜のPV見てたら、関連動画に毛皮のマリーズの「愛のテーマ」が載ってて、解ってるなYouTube!!と思わずクリック。愛のテーマも、全肯定感というか、底抜けの明るさと愛の喜びに満ちあふれたそれこそユートピア的な名曲であるが、これも昔聴いては泣いてた。だいぶ序盤の、"間違ってなかった 歴史は全て間違いじゃなかった"あたりで泣いてた。ここまで来ると、そんな意識や記憶はないけどわたし何かめちゃくちゃ間違ったことしたんやろか…?みたいな気分になってくるよな。普段あまり過去の決定とか色んなことを後悔したり悩んだりしないのだけども、意識の表層に上がってこないだけで、色々思うところはあるのかもしれんね。



 

2015/4/27(KILLS)

 昨日くらいから、久しぶりにThe killsを聴いてる。大好きなバンドだ。洋楽の中なら間違いなく一番好き。どのアルバムも好きだけど、初期の荒々しいギターは背中のまんなかを気ぜわしく這い上がってくるようで、もうそれだけでむちゃくちゃにえろいのに、そこにVVとHOTELの乾いた歌声がお互いを喰らい合うようにぶつかりあって、のっぴきならないことになっている。乾いてて、なのにえろくて、とってもハードボイルドだ!まじのっぴきならないかっこよさ。


わたしが初めて聴いたKILLSは、superstitionだった。PVがガリガリしててえらいかっこよかったんだが、youtubeに見当たらないな−。



PVで好きなのはこのTHE GOOD ONESと、Black Balloon。

気怠げなバックステージも、血だらだら流すVVも、なにもかもKILLS的様式美である。

 仕事帰りに京セラドーム前のイオンモールに寄る。普段行かないが、行きたいときに近くにあるのはやはり便利だ。GUで黒のパンツ買って(ユニクロに行きたかったがあそこにあるのはGUだけなのだな)、安いピアスをふたつ。28歳が数百円のピアス見てたらいかんよな〜と思うが、ピアスの穴を維持するためには何か入れておかないといけないし、同じのばっかだと飽きるし!でも、安いピアスはやはり、愛着がない分ほんとうにすぐ飽きる。これはだめなループだ。

2015/4/26(展覧会とボリショイ)

 昨日は、昼間に肉筆浮世絵展@大阪市美、夜にボリショイバレエのライブビューイングと、一日中うつくしいものに触れられて良い日でした。
 肉筆浮世絵展はとにかく着物がめちゃくちゃかわいい。あれは花見してる遊女とか歩いてる遊女とかはたまた手紙読んでる遊女とか、そういう画題よりも、ひたすらファッション画としてオシャレな着物が描きたかったんやろ、或いは(施主が)描かせたかったんやろ、と思うレベルで表現や描き込みの緻密さに驚く。もうとにかくひたすらにオシャレで、ため息。展示作品の模様帖とか作って欲しい。買いたい。
 親が工芸の仕事とかしてるからってのもあるかもしれないが、ああいう絵を、画師にぽんと金やって描かせるお金持ちがいたって本当に素晴らしいなとつくづく思った。江戸時代の大商人たちに感謝だ!しかし自分が出したお金で、あんな美しい絵が生まれるってどんなけ良い気持ちだろうか。それがのちのち、こうやって公の美術館で展示され、多くの人の目を楽しませるのである。
 ボリショイバレエは今年ライブビューイング何本かしてて、見に行ってたんだけど、最後の演目が白鳥の湖。もうあれは聴覚と視覚の最高の贅沢!音楽にしろ振り付けにしろ、展開がいちいちドラマティックで、そのたびに訪れるカタルシス。最後の場面はまじ美しすぎてちょっと泣いた。ロットバルトは、オディールやオデットをジークフリートに差し向けているわけなのだけど、まるで自身がジークフリートに焦がれているように妖しくエロティックで、なんだか歪んだ愛憎を感じる。王子よりも印象的なキャラクターだった。回転やジャンプも、今まで見てた演目も凄いと思ってたが、とにかく見せ場がほんと多かったなー。また見たい。

2015/4/23

 昔は毎週末やってたんだけど、最近してなかった。会社から、歩いて帰った。今日のルートでだいたい5.5キロ。寄り道しなかったらわたしの足で80分くらい。今まで、なぜか御堂筋まで出て南下するというルートだったのだが、何も御堂筋にこだわらなくてもよいのでは?と思って、今日は堺筋を南下した。大阪に生まれて28年、この会社に勤めて5年弱。思えば堺筋を、こんなにまっすぐ歩いたことはなかった。
 わたしが時々ひとりで旅行するのは、展覧会とか、ライブとか、そういう目的もあるけど、知らない町を、ひたすら歩くのが好きだからというのもある。どこになにがあって、というのを見るのも楽しいが、道が、どこでどういう風に繋がっているのか、それを確かめながら歩くのが好きだ。多分、道というものが好きだ。断片的に見知った景色が、ああここでこういう風に繋がるのか、と了解したときがとても気持ちいい。知ると言うこと、解ると言うことが、知識として、経験として、肉体の体験として、その全てが同時に訪れる瞬間が、町を歩く中にある。そして、知らない町というのは、静岡や東京や名古屋や岡山や広島や福井に行かなくとも、いや、まぁ行きたいけど、行かなくとも、まだ地元である大阪にたくさんあって、それってすごいステキじゃないか、って思った。
 わたしはほんと長い長いあいだ地理に無頓着で、自転車で家からどこかに行く、という時に、本当にそのルートにしか気に掛けてなかったため、ばかみたいに、どの道がどこに通じているかと言うことを、実は知らないのだ。だから、わたしはまだ大阪で充分楽しめるということだ。ありとあらゆる道を歩き尽くしたい。


 堺筋を歩きながら聴いていたのは、THE BEACHESJerry Lee Phantom。浮ついた気分になってすばらしい。夏は実際に来ると暑くてしんどいけど、夏じゃない季節に夏に焦がれる気分はとても良いものだ。

 堺筋にはありとあらゆるチェーンのカフェがあり、誘惑がすごかったが、なんとかどこにも入らず。心斎橋まで出たあと、東急ハンズに寄ってすこし買い物。地下が書店になっており、財布に500円の図書カードが入っていたことを思い出して立ち寄る。結局、ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」を購入。タイトルが良いよね。「愛はさだめ、さだめは死」レベルの良さ。しかし文庫版なのに1200円もしやがるので、大いに足が出る。無慈悲だ!ただその分分厚いので、いまはちょっとムリかな。しばらく寝かせよう。ハインラインは「夏への扉」しか読んだことがない。あれもあまくて好きだな。出張の際よく持って行く。

 で、今日からお風呂で読むことにしたのは、隆慶一郎の「一夢庵漂流記」。前田慶次の物語である。NHKの木曜時代劇で晩年の前田慶次のドラマをやってるのだけど、わたしとしては前田慶次はこの一夢庵〜のイメージが強い。ドラマは、衣装がやたらかわいかったり、ふすまの唐紙や調度がやたら美しかったり、どうも主筋からそれたところばかりに目が行ってしまう。ただ衣装はほんとかわいい。登場人物全員、同じテイストで統一されてて、舞台みたい。唐紙もかわいい。