2015/4/23

 昔は毎週末やってたんだけど、最近してなかった。会社から、歩いて帰った。今日のルートでだいたい5.5キロ。寄り道しなかったらわたしの足で80分くらい。今まで、なぜか御堂筋まで出て南下するというルートだったのだが、何も御堂筋にこだわらなくてもよいのでは?と思って、今日は堺筋を南下した。大阪に生まれて28年、この会社に勤めて5年弱。思えば堺筋を、こんなにまっすぐ歩いたことはなかった。
 わたしが時々ひとりで旅行するのは、展覧会とか、ライブとか、そういう目的もあるけど、知らない町を、ひたすら歩くのが好きだからというのもある。どこになにがあって、というのを見るのも楽しいが、道が、どこでどういう風に繋がっているのか、それを確かめながら歩くのが好きだ。多分、道というものが好きだ。断片的に見知った景色が、ああここでこういう風に繋がるのか、と了解したときがとても気持ちいい。知ると言うこと、解ると言うことが、知識として、経験として、肉体の体験として、その全てが同時に訪れる瞬間が、町を歩く中にある。そして、知らない町というのは、静岡や東京や名古屋や岡山や広島や福井に行かなくとも、いや、まぁ行きたいけど、行かなくとも、まだ地元である大阪にたくさんあって、それってすごいステキじゃないか、って思った。
 わたしはほんと長い長いあいだ地理に無頓着で、自転車で家からどこかに行く、という時に、本当にそのルートにしか気に掛けてなかったため、ばかみたいに、どの道がどこに通じているかと言うことを、実は知らないのだ。だから、わたしはまだ大阪で充分楽しめるということだ。ありとあらゆる道を歩き尽くしたい。


 堺筋を歩きながら聴いていたのは、THE BEACHESJerry Lee Phantom。浮ついた気分になってすばらしい。夏は実際に来ると暑くてしんどいけど、夏じゃない季節に夏に焦がれる気分はとても良いものだ。

 堺筋にはありとあらゆるチェーンのカフェがあり、誘惑がすごかったが、なんとかどこにも入らず。心斎橋まで出たあと、東急ハンズに寄ってすこし買い物。地下が書店になっており、財布に500円の図書カードが入っていたことを思い出して立ち寄る。結局、ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」を購入。タイトルが良いよね。「愛はさだめ、さだめは死」レベルの良さ。しかし文庫版なのに1200円もしやがるので、大いに足が出る。無慈悲だ!ただその分分厚いので、いまはちょっとムリかな。しばらく寝かせよう。ハインラインは「夏への扉」しか読んだことがない。あれもあまくて好きだな。出張の際よく持って行く。

 で、今日からお風呂で読むことにしたのは、隆慶一郎の「一夢庵漂流記」。前田慶次の物語である。NHKの木曜時代劇で晩年の前田慶次のドラマをやってるのだけど、わたしとしては前田慶次はこの一夢庵〜のイメージが強い。ドラマは、衣装がやたらかわいかったり、ふすまの唐紙や調度がやたら美しかったり、どうも主筋からそれたところばかりに目が行ってしまう。ただ衣装はほんとかわいい。登場人物全員、同じテイストで統一されてて、舞台みたい。唐紙もかわいい。