高知新聞と孤独死

 9月末から10月頭にかけての高知新聞孤独死や見守りに関する連載がすごく良かった。孤独死孤立死に関する記事って報道記事から特集記事、連載まで中央紙・地方紙問わずすごく多くて(地方紙の方が多いかも知れない)、わーりと似たような内容になりがち。孤立しがちな高齢者をどう福祉へつなげるか、福祉や支援を拒絶する人への接し方、定期的な巡回は大切だけど人員が足りない、独居高齢者を巡回したいけど自治体が名簿の提供をしてくれない、とかそういうの。なにか大きめの孤立死事件があったらそれを導入に、幾つか事例をあげて、支援してる人の話、みたいな。だからわたしも余程目新しいこと書いてたり、「全国初の試み」みたいな言葉がないと、フーンてスルーしてしまうことが多くて、高知新聞のもフーン6回かぁ割と長いなーと思って何となく目を通しただけだったのだけど、いやー、わたしの中の孤独死問題記事オブザイヤーをあげたい!事例紹介は事例紹介なんだけど、すごくこう、日常感のあるというか。人知れず町の中のブラックホールみたいなところで孤独死する、という別世界感ではなく、外の物音や人の話し声のする中でひっそり死ぬ、あるいは死にそうになっている、そしてその当人も、その物音や人の話し声の中に、社会の中にいたこともあるのだ、という感じがした。過剰に悲惨さをあおるでもなく、淡々と、あたたかみありすぎることもなく平熱な感じも良かった。あと通報?を受けてホームヘルパーがみにいったらゴミの散乱する中切れたコタツの中で凍えてるのを発見、福祉につなぐ、ていうのも、ホームヘルパーってのは少なくともわたしが見る限り新聞記事で見た記憶はないような。大抵民生委員か役所の人間だよね。
 高知新聞って、記事中の人の発言が方言そのままであることが多い。それもすごく良い。「平熱」な感じにつながっているのかも。地方紙多しといえども、意外にそういう新聞って少ないんだよね。大抵どこも記事になる時点で標準語に書き換えられている。考えれば書き換える必要とかあんまないよね。なんでだろ。
 高知新聞、良い新聞ですよ。高知県お立ち寄りの際は是非1部買ってみてください。