音楽との出会い、K2

BO GUMBOS「JUNGLE GUMBO」、Lonesome Dove Woodrows「Cafe de Cobalt」、あぶらだこ「釣盤」「木盤」、スタークラブ「The Star Club Best」、THE 原爆オナニーズ「ニュークリア・カウボーイ」「Quality Control」、有頂天「The Very Worst Of 有頂天」、鈴木慶一「火の玉ボーイ」、スターリン「虫」
 少し前に、ROCK IS LOFTというコンピレーション盤を人に貸してもらって、気に入ってよく聴いていたのだった。それに入ってて気に入ったバンドを借りよう、と思って行った。

ROCK is LOFT -Red Disc- ~SHINJUKU LOFT 30th ANNIVERSARY~

ROCK is LOFT -Red Disc- ~SHINJUKU LOFT 30th ANNIVERSARY~

 それが、有頂天と原爆オナニーズ鈴木慶一あぶらだこだった。
 最近ずっとこの3つのバンド聴いてる。あまり新しく何かを聴きたいという気分は近頃久しくなくて、今好きな音楽にぎゅっとひっついていたい気分で、そういうのに風穴開けてくれたのが、前述のロフトコンピだった。
 自然なタイミング、音楽と出会うときというのは、いつだって自然にやってくる、とわたしは信じている。ぼんやり人の家で聴いた音楽が、その家を出てからも自分の中に残ってて、それがどんどん大きくなる。或いは、名前はずっと知ってる、でも特に聴いてみようとしたことはなかった、しかしある時何の前触れもなくふっと、聴いてみよう、と思う。そういう出会いが好きだ。聴かないといけない、とか、押さえておくべきアーティスト、とか、そこから好きになったとして、それはわたしにとって印象に残る出会いではない。出会いっていうのは何であれ一度きりだ。良いんだろうなーと思う音楽ほど、時を伺ってしまう。パソコンの横にCDが山積みで、順々に聴いていったその下の方にそれがあったとき、果たしてわたしはその良さを十二分に感じることが出来るだろうか。
 だからわたしは待ちたいと思ってる。どこかで出会うタイミングを、或いはふっと聴きたくなるときを。この4つのバンドは、そういう幸福な出会いをした音楽だった。そして、そういう出会いに感謝したい、ふさわしい、特別になりそうな音楽だった。わたしはまだ聴いたことがない音楽が山ほどある。それをひとつひとつひもとく喜びは、音楽のすみずみを知りつくす人にはもうあまり残されていない喜びだ。わたしのふところの中には、もう自分と溶けあってしまっているような、大好きで大好きで仕方ない音楽がたくさんあって、その先にまだ沢山の音楽が、出会いがあることが、とても幸福だ。
 貪欲に次から次へと新しい音楽を求める人のパワーを羨ましくも思う。音楽雑誌や各種メディアで情報を集め、話題の音楽を探して目を付けて追いかけるような人もすごいと思う。でもそれはわたしではないのだ、と最近気づいた。わたしはわたしのペースでしか音楽を聴けない。誰が笑おうと、ばかにしようと、おまえは本当の音楽好きじゃないのだと言うなら、それでいい。わたしはわたしの尺度で音楽が好きなのだ。
 インターネットをして色んな音楽好きの人を見ていると、不安になるし情けなくなる。自分が愚かに思える。音楽もインターネットも全部ぶっとばしたくなる。ときどきこんな風に整理して、言い聞かせないと、しんどくて仕方ありません。音楽を好きな人は好きだ。でも音楽を好きな人に好かれるタイプの人間ではないのだろうなということは、もう解っているけどどうしようもない。