ズボンズ @fandango

 ズボンズのライブはめちゃくちゃ良かった。他のライブ10本くらいの価値はある。新録ベストの発売ツアーということで(まだ正式には発売してないけど)、ズボンズのライブぽい非常に贅沢なセットリストだったように思う。これでもか!みたいに、時間の概念すら吹っ飛ぶ疾走感。何分くらいしたのかすら解らない。あっという間だった気もするけど、一日中ぶっとんでいたような気もする。濃厚すぎてもう訳が解らん。息つく間もない、凄まじい時間だった。十三駅に向かう道すがらついさっきのライブ思い出すだけでちょっと泣けてきた。急に寒くなってお腹痛いのもあったかも。とにかくなんか、すごかった。
 比べるもんじゃないし比べられるもんでもないとは解ってるが、ズボンズは本当にNo.1だ。この言葉は彼らの為にあるのだ。ズボンズのライブを見ていると、音の力というのを凄く感じる。概念的なものじゃなくて、もっと物理的で暴力的な。空気の振動がそのまま、身体を支配してしまうような。彼らのライブが、奏でる音が、とてつもないエネルギーを発していて、それは人の理性や自我を呑み込んでしまう。自分であることすら忘れてしまう。
 華奢なドンが息を荒くしながらマイクスタンドを抱きかかえるように、というかすがりつくように座り込み、俯いてマイクを逆手に持って叫ぶ姿は、目の前にいても、思わず目をそらしたくなるほど美しくて、今にもこわれてしまいそうで、こわくなった。壮絶といっていいようなそんな姿だった。彼自身も、他のメンバーも、ツアーまわってきて疲れている、と言っていたけど、演奏は本当に容赦なくて、命削ってる感じがしてはらはらした。あの身体のどこにそんなエネルギーがあるんだろう。機材がどんどん壊れていく、多分自殺してんだよこれ、てドンが言ってたけど、ほんとそのくらいハードなツアーなんだろうな。命削ってる感のあるライブをするバンドは色々いるけど、ズボンズは、削り続けている。結成15年、わたしは勿論ここ数年のズボンズしか知らないし、何が言える立場ではないけど、15年経った今でも全くスピードを落とさず、新しい地平へ走り続け、物凄い本数の国内外ライブをこなし、すり切れてしまってもおかしくないのに、まだズボンズは貪欲に走っている。おっつけないほどに。それは何より凄いことだし、彼らがNo.1たる最も大きな所以ではなかろうか。意識的についていかないといかん、と思った。容赦なく振り落とすだろうし振り落とされるだろう。海外の方が良いとか言って戻ってこなくなったら日本にとってどれだけ大きな損失になろうか。