宇宙船レッド・ドワーフ号のこと

 宇宙船レッドドワーフ号という、海外ドラマのDVDBOXを最近購入し、地道に鑑賞している。イギリスのBBCで88年から10年くらいにわたって放送された、SFドラマで、日本では堀内賢雄江原正士山寺宏一などによる豪華声優陣による吹替で、10年くらい前に深夜NHKで放送されていた。
 巨大宇宙船レッドドワーフ号の乗組員であるリスターは、無断で猫を持ち込んだ罰として時間凍結室に入れられる。だがその間に放射能漏れの事故がおこり乗組員は全員死亡。コンピュータのホリーによってリスターが眠りから覚めたのは、船内の放射線が安全なレベルになった300万年後のことだった。広大な宇宙をさまよう巨大な宇宙船の中にたったひとり。故郷の地球もまだ存在するのかすら解らず、人類最後の生き残りかもしれないリスター。ホリーがリスターの精神の均衡を保つ為、彼の友人リマーをホログラムとして復活させてくれる。加えて船の奥から現れた謎の猫人間、彼はリスターの飼い猫が300万年の時を経て人間へと進化した生き物、キャットだった。かつてのリスターの夢は、フィジーに牧場を買って、猫とヒツジと馬とささやかに生活をすること。イルカが地球を支配していて人間が水族館で泳いでいても良い、それでも帰りたいんだ!僅かな仲間達と、リスターはあるかも解らない地球へ帰る長い旅を始めたのだった。
 というような悲劇的且つ絶望的な序盤の設定だが、実際は、お下劣でお下品で品のない最高にアホなSFコメディである。もう少し登場人物を詳しく説明すると、人類最後の生き残りであるリスターは、下品で音痴でカレー好きで足が臭い。ホログラムの相棒リマーは、臆病で無能で出世欲の塊。猫人間キャットは、お洒落に余念がないナルシスト。コンピュータのホリーは、IQ6000のはずが300万年の間に頭脳は大幅に劣化。後に仲間にアンドロイドのクライテンが加わるのだが、本来備わっている忠誠心と、リスターたちによって吹き込まれる沢山のおかしな事柄がない交ぜになり、どんどんいけないアンドロイドになっていく。宇宙を放浪するお馬鹿な彼ら。時間旅行をしたり、別次元の宇宙と接触したりといった壮大な設定を、悉く、卑近でアホなディテールが埋め尽くしていく。因みにわたしが人生で初めてタンポンというモノを見たのはこのドラマの中でだった(後に登場する女性乗組員が生理になったときに、アンドロイドがリスターに「生理おめでとう!って祝ってこれをプレゼントすると喜ばれるよ」と吹き込まれ、タンポンにリボンを結び付けてプレゼントするのである。)(何が言いたいかというと、そんな感じに下品で下らないということだ。)
 終盤は少しずつだれていくが、前半〜中盤の面白さはもう、なにがなんやら、というレベルである。もし、見てみたい、と思った素晴らしい人がいたら、ここ()とかクリックしてみると良いことがあると思います。それかうちに遊びに来るといいと思います。ちなみにイギリスでは、少し前に新エピソードが公開され、続いて新シリーズが放送中だか制作中だか。映画化の話もずっと出ては消え出ては消えしてたけど、新作はちゃんと進行中のようで、NHKさんには頑張って頂きたい!