ルーヴル美術館展−美の宮殿の子どもたち


 みんなだいすきルーヴル美術館。その展覧会が今年は2つ時期をかぶせて開催される。何が違うって一番違うのは主催の新聞社なんだけど、大まかに言うと、絵画オンリーかそうじゃないか、みたいな。もっと言うとフェルメールかそうじゃないか。そうじゃない方のこちらは大阪の国立国際美術館で開かれる朝日新聞主催のルーヴル美術館展。(因みに絵画オンリーの方は読売新聞主催で京都市立美術館で来週くらいから始まる)
 絵画だけじゃない、と大雑把に書いたけど、ルーヴル美術館には元々、古代エジプト美術、古代オリエント美術、古代ギリシャエトルリア・ローマ美術、イスラム美術、彫刻、美術工芸品、絵画、素描・版画という8つの部門があって、今回はそこからイスラム美術を除く7部門から約200点が展示されている。その200点はどういう基準で選ばれたかというと、サブタイトルの「美の宮殿の子どもたち」が示すとおり、「子ども」というのが大きなテーマで、今回のポイント。制作年代や地域という区切りを一旦外して、その誕生や生活、死、宗教など、7つの章でもって再構築した、バラエティに富んだ展示になっている。
 例えば、目玉展示かどうかは解らないが日本初公開らしい少女のミイラ、これは「死を巡って」という章で展示されてるのだが、古代エジプトのミイラがあったと思ったら16世紀フランスの子どもの墓碑があり、油彩画や大理石彫刻も同列に並ぶ。子どもという存在、無垢で儚い、そして希望に満ちたその存在と、それに対する大人達の思いが、時と場所を越えて人間の営みの中にあり続けていたことが伝わってくる。わたしは正直あんまり西洋美術得意ではないのだけど、このルーブル美術館展は絵画だけでなく工芸や彫刻、古代遺物など様々なものが置かれており、見てる人を飽きさせない。各章の分量も多すぎず少なすぎず、テンポ良く見てまわれる。京都のように「これが!」という目玉的有名作品は確かにないが、全体としてとてもよくまとまっているし、結構オモシロな作品もあって楽しい。
 チラシなどにも取り上げられているが、「悲しみにくれる精霊」(:2番目)という子供(精霊)が膝をついて悩ましげに悲嘆に暮れてる大理石彫刻とか、幼児ぽいなりして分別くさいというかおっさんくさい風情をむんむん漂わせていて、あれ見て脳内写真で一言大会を始める人は絶対多いと思う。想像膨らむ。この近くにある「無垢」(リンク先3番目)という彫像もとても良かった。普段余りこういうリアルな彫刻興味ないんだけど、思わず見入ってしまった。ロリコン的あれでなく、少女の身体の美しさが昇華されてるような。
 あと可愛らしいのがハリネズミの玩具()。紀元前1500年〜1000年くらいのイランのものらしいが、包丁で切れ込み入れたイカの飾り切りみたいな身体にきょとんとした顔つきがとても可愛い。とても小さいので見逃し注意。因みにこれはそのまんま携帯ストラップになってショップに売られている。ちょう可愛い。欲しい。ガチャガチャもあったので小銭握りしめてはしゃぐといい。
 展示作品そのものの解説キャプションはそんなに多くないのだけど、音声ガイドがとても面白いことになってるのでお勧め。藤村俊二ルーヴル宮殿の執事に扮して、宮殿内の7つの扉(展示の章にあたる)を案内するという設定だ。執事ブームがここまで…!テレビ朝日川瀬眞由美というアナウンサーと半々くらい?で解説していて、締めるところは締めてる、緩急あって面白いガイドになっていた。前述の通り展示室内のテキストは少なめなので、聞く方が断然よく解って楽しめる。難しい言葉とかも少ないし執事だし、子供が聞いても大丈夫なんじゃないだろか。あとカウンター前の藤村俊二等身大パネルにはニヤニヤした。血色良くてかっこいい。
 そんな感じで結構面白い展覧会だと思う。今日から9/23までという結構長い期間するけど、こういうのは気が付いたら会期終盤になって混むから行きたい人は、展示替えとかも無いし、早め早めに行っておくのが良いよ!

  • 朝日新聞によるルーヴル展公式サイト()
  • 国立国際美のオフィシャル()