毛皮のマリーズがやってくる!ゲス!ゲス!ゲス!



 志磨因縁の梅田Shangri-laにて。5/30。

 Rock Riderで見たワンマンよりも、詩情大目のライブだった気がする。疾走感や、熱情だけに留まらない、もっと深くて大切なライブだった。志磨の口からは何度も「愛してます」という言葉が飛び出て、それがやはりとても大きなテーマなのだろうと思った。音も歌も攻撃も暴力も全部、その言葉と繋がっているような。「全てを賭けて愛してると言います。」「あなたも、あなたも、あなたも、あなたも。」
 バンドがライブ中に放つ言葉として「愛してる」は差ほど珍しいものじゃないけど、昨日の志磨のそれは、なんか凄かった。ミドリのまりこの「愛してる!」よりもヒリヒリした。新譜「Gloomy」を聴いて、志磨の解説やインタビューを読んで、あのアルバムが何らかの愛によって貫かれているのは知っていた。けどライブを見て初めて、それが実感となって解ったように思う。散りばめられた、目を背けたくなるくらいの激情や諦観や鬱屈、その全部が指し示すもの、或いは起因するもの、その答えがこれなのだ!と、何となくでしかないのだが、スッと感じるよな、そういう良いライブだった。それは多分、ただアツい、ただ激しいだけのライブや音楽じゃなくて、奥行きや、激情の裏側にある冷静な知性みたいなものが毛皮にあるからなんだと思う。
 あと志磨は先月のShangri-laでのライブで、腰椎突起を骨折してツアーの延期を余儀なくされたのだけど、その原因はどうやらShangri-laのステージにあるモニターだったらしい。「ステージから見えるお客さんへの愛を、愛を、途方もなく大きい愛を、どうにか表現しようとして、ここで背骨を折った男がいたことを、ワタシはここに石碑として刻みたい!」 げらげら笑いながら、でもやっぱりどこか苦しい、胸の詰まるMCだった。なにをどうして折ったのか想像つかないんだけど。この続きで「そんなバカな男がいたことを〜」と、フールに入る流れはとても良かった。
 超観念生命体私や、悪魔も憐れむ歌が聴けなかったのは残念だけど、ライブの最初が、志磨と越川二人によるチャーチにてだったのは、初っぱなからゾクゾクした。続けて演奏された人間不信で、割と多くの人がまだその余韻から冷めやらず呆然としてた。帰り物販で、翌日のライブの入場料として下ろしたお金で「エゲツナイ」Tシャツを買ってしまう。白のXSが無かったら諦める!と決意して、ありますかーと聞いてみたのだが、ちょっと探し回ったあとに、ラスト1枚でした!とにこやかに言われ、おお!と思ってにこやかに3,000円払う。上の写真がフロントプリント。下の写真がバックプリント。着るぞー。