杉本博司−歴史の歴史



国立国際美術館


 国立国際美術館にて。7日まで。3日に行ってきた。

 展示作品も展示手法もすべて一分の隙も無い素晴らしい展覧会だった。日本の古美術や化石、古写真など様々な物品を収集している杉本博司の、そのコレクションと自分の作品とが渾然一体、並列に展示されていて、その不思議な世界にくらくらする。雑然とした印象は一切受けない。すべてを繋ぐ透明な細い糸のようなものがあって、それがきっと、自分の作品世界に留まらない、杉本博司という人間の意識なんだろうと思った。大胆に作りこまれた展示室は、ひとつ室を抜けるたびに驚きがある。国立国際なんてたいがいよく行ってるのに、まるで初めて行く美術館のようだった。
 杉本博司の作品は、いろいろ、わたしが知っているものも知らないものも多数あったが、やはり海景シリーズはすごく良かった。ゆるくカーブする曲面の壁に同じ高さでずらーっとかけられてて、眺めていると時間の概念すらふっと溶けていくような感じがする。ふくらはぎの辺り鳥肌が収まらなくてふらふらした。電気通すやつ(シリーズ名忘れた)も、展示室でかくぶち抜いて、ずらーっと並べられてて圧巻。レントゲン写真みたいに後ろから光発してるからじっと見てると目や頭が痛くなるんだけど。
 最後の展示室を抜けると、5分くらいの短めの映像コーナー。その横に図録やその他杉本博司関連の書籍を閲覧できる机があって、そこで長々図録に見入っていたらいつの間にか閉館10分前。そろそろ上行ってショップ見ようぜとエスカレーターに向かったらその根元に更に映像コーナーがあって、そこの上映時間40分で吹いた。なんたる罠。それ見れなかったのは未だに心残りである。図録は7000円近くしたのであきらめ、BRUTUS杉本博司特集買って帰った。