足りないもの、足りたもの

 28年暮らした実家を出て、ひとりぐらしを始めた。家から持ち出せるものは持ち出して、また人からいろいろ頂いたりして、それでも買わないといけないものは沢山あって、でもお金はぜんぜん無くて、なので、無い状態から始めて、必要だと感じたものを順次用意していくことにした。そんな中、意外になくても大丈夫だなあと思ったもの、無くてもよくない?と思ったけどやっぱり無いと困ったものを記録しておく。

  • 炊飯器

 もともと、無くても大丈夫な気がするなァと思っていたけど、無くていけてる。最初片手鍋で炊いてみて、それでも充分簡単だったのだが、片手鍋は調理にも使うので、それ以降は頂き物の土鍋が大活躍。帰宅してすぐ米洗って水につけといて、掃除したり他の調理したりしてる間に30分くらいすぐ経つから、土鍋に移して水入れて蓋して火に掛け、沸騰した気配がしたら弱火で10分。あとはガスからおろして(おくところがないから床にコルクの鍋敷き置いてそこに移動させてる…)蒸らしたらとてもおいしいご飯が炊ける。炊飯器と手間ってそんなに変わらん。土鍋洗うことくらい?
米用の計量カップもほしいと思ってたけど、IKEAで買ったグラスすり切り1杯で、わたしのご飯ちょうど2膳分になる。水も同量で丁度良い。今の季節まだ残った1膳分をラップして放置してても1日くらい保つので、ごはん炊くのは2日に1度。ほどよいペース。

  • 電子レンジ

 夕ご飯のプランさえ考えておいたら、冷凍肉はその日の朝に冷蔵庫に移しておけばいいし、野菜は茹でればいいし、冷食の類いは食べないし、今のところ必要と思う場面には出くわしていない。しかし前述の残ったごはん1膳分を室温放置ができない季節になると、冷凍することになると思うので、冷凍ご飯の解凍には必要な気もする。しかしまぁいちど蒸して解凍という手を試してからだな。

  • トースター

 食パン焼きたいなぁと思ってたけどガスレンジについてる魚焼きグリルで充分事足りる。うちのは片面焼きなので、途中ひっくり返さないといけないし、油断するとすぐ焦げるけど、まぁ油断さえしなけりゃ問題ないし、朝は慌ただしいのでそんなに油断しない。

  • オーブン

 実家のガスオーブン結構使ってたのだった。無くても困らないがあればより豊かな食生活が送れるなぁとはいまだ思う。焼き菓子類はまぁ諦めるとして、ホイル焼きやピザはグリルで大丈夫かな。グラタンはムリかな。菓子類は、プリンやゼリーや白玉なら作れるぞ、と思ったのでとりあえずそのうちプリン作りたい。

  • サラダ油

 べつにあってもいいんだけどおくところ狭いからまだ買ってない。個人的にはオリーブオイルの方が汎用性高いので最初にオリーブオイル買ったら大体それで事足りてしまった。焼くのにもサラダにもマリネにも使えるし。あと祖母がごま油くれたのでその2本で油は足りてる。

  • 醤油

 しばらく無い状態で過ごしてみたが、段々「醤油味…醤油味…!」と魂の底から醤油を求める声がしたので買った。落ち着いた。

 ひとりぐらしを始めて改めて自覚したのだが、わたし酸っぱい味好きだわ。真っ先に買った調味料は家でも使ってた岩塩と、バルサミコ酢であった。その後使わないと母がくれたワインビネガーを実家から貰ってきて、ポッカのレモン買ってだいぶ落ち着いた。しかし普通の酢がないので早急に買いたい。

  • 本棚

 書籍類はほぼ実家においてるので今のところ小さめの段ボールに立てて入れてそれを本棚と言い張ってる。

 最初のあいだ、ガスレンジが入ってた段ボールにカッターマット敷いて上から布かけて机と言い張ってたけど、これはどうにもやはりしんどかった。実家から無印の折りたたみ机(くそ重い)えっちらおっちら手動で運んで今は快適。机は要る。

  • 体重計

 ないとなんか妙に不安である。実家にいたときも毎日測ってたわけじゃなかったのに…。とりあえず実家にいたときから自分用に買おうと思ってたWellness Link対応の体重計をそのうち買う。

  • 姿見

 そうかこれってやっぱり必要なのか…と思った。服も全て持ってきている訳ではないので、限られた服を組み合わせて着ないといけなくて、そうなるとまぁ想像でこんな感じやろなとは思ってもそれを確認できないのは大層不安である。あったらあったで叩き割りたくなることもあるが、なかなかオサラバはできないようだ。あとバストイレ一体型の洗面所で化粧までしようと思うと洗面台の周りがゴジャゴジャしすぎるので、姿見買ったら化粧は外でしたい。今のところ、後ろにハンガーラック付いてるIKEAの姿見か、鏡部分がパカッと開いて中にアクセサリーや小物収納できるニトリの姿見かで迷っている。

  • 湯沸かし

 片手鍋でなんとか。2口ガスコンロ置ける部屋なので、その辺りは助かっている。


 わたしは特に座右の銘とか良い言葉とかを大事にするタイプではないのだけど、唯一とても好きな、というか、生き方の指針にしたいと思っているのが、ウィリアム・モリスの「役に立たないもの、美しいとおもわないものを家においてはならない。」という言葉。その通りに生きることはとても難しいけど(そもそも彼の言うbeautifulのレベルはとんでもなく高い)、なにかを買おうとするときいつも頭をよぎる。なにか必要だと思うものがあって、でもあまりお金がなかったり、自分の美意識にそぐうものが店で見つからないのならば、安くて美しくないもので妥協するよりは、それが無い状況を我慢する或いは無くても大丈夫なように工夫する、方を選びたいと思っている(もちろん常に選べている訳ではないし選べていないことの方が多い)。そしてその美しいものが見つかるまで、わたしはわくわくしながら探し続ける。美しいという言葉は、単純に見た目だけの問題ではなくて、人であれものであれ、機能や在り方や思いも指すとわたしは思っているが(勿論見た目もだ)、そういう意味で、自分が美しいと思うものが今のこのわたしの生活の中にあればと思う。そして、ないものはないで良い。